根管治療
根管治療
虫歯が進み歯随まで達すると、冷たいものや熱いものにしみる・体が温まると痛くなる・噛むと痛い等、さまざまな症状が現れてきます。
歯随は元来、丈夫な組織であり、残せるものなら残した方が望ましいことなのです。
しかし、歯随を保存するような処置を施しても不可能な場合には虫歯の痛みは神経を取れば痛みはなくなります。
ただし、痛みがなくなったから、もう大丈夫と思ってはいけません。
そのままにしておくと神経の入っていた空洞(歯随腔)のなかへお口の細菌が徐々に入り込んで繁殖していきます。やがて歯の根の先端からその細菌が歯の周囲の組織(骨)に広がっていき、膿の袋を形成していきます。
根管治療とは術者も患者様も共に根気が必要な治療です。
歯の根の長さは約10ミリ前後しかありませんが、そこにある感染した歯随(神経と血管から構成されています)を薬液で綺麗に消毒し、防腐剤で緊密に充塡することが必要です。
この歯の模型は上の奥歯です。
奥歯は噛む力が強くなり、食べ物をかみ砕く役目があるため歯の根は三脚のように、3根あります。
神経はそれぞれ1根につき1本ではありません。歯の根の中を網目のように様々な形態をしています。
それを示したものがこの画像です。
上の奥歯を特殊な薬剤で神経を染色したものです。
実際はこのように歯の根の先端が細かく枝葉のように分かれています。
また神経の形状は真っ直ぐではなく複雑に曲がっているのです。
神経の治療の流れ
治療方法の変化
従来、根管治療はステンレスでできたファイルという清掃器具を用いて、曲がった根管を防腐剤が入りやすいように径の細いファイルから徐々に太いファイルに変えながら手用で直線的に形成しながら、拡大をおこなってきました。
その後超弾性を有するNi-Ti製のファイルが導入されるようになり、曲がった根管は、その形態に沿ってエンジンを使って1本のファイルだけで迅速に形成、拡大することができるようになりました。
そのため症例によっては、従来の根管治療より短時間で治療を終了することが可能です。
当院ではジッペラー社レシプロックを採用しています。
治療例
根の尖にウミのフクロ(赤丸の部分)があります。
ステンレス製のファイルで根管治療を行い防腐剤を歯の根の先端まで密封した状態です。
徐々にウミのフクロは消えていきます。
Ni-Ti製のファイルで根管治療を行い防腐剤を充填しているところです。
上の画像と違って湾曲した根管に沿って、防腐剤が入っているのが確認できます。